ことわざを知る辞典 の解説 孝行のしたい時分に親は無し 親のありがたみがわかって 孝行 をしようと思う年頃には、すでに親は亡くなっている。 [使用例] 孝行のしてぇ時分に親はなし、こちとらのようになっちまってから孝行をしてぇたって 遅蒔き だから[三代目春風亭柳枝*落語・性和善|1891] [解説] 川柳から出た表現で、多くの人々の共感を得て、幕末にはことわざとしてほぼ定着し、「孝行のしたい時には~」などの異形も生じています。 [類句] 石に布団は着せられず 〔英語〕You never miss the water till the well runs dry. ( 井戸 が涸れるまで水のありがたさはわからない) 出典 ことわざを知る辞典 ことわざを知る辞典について 情報 ©VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
親の苦労がやっと分かって、これからは親孝行をしなければと考えるころには、すでに親は死んでこの世にはいないことをいう。 〔類〕 石に布団は着せられぬ/子養わんと欲すれども親待たず/ 風樹の歎 〔出〕 歌舞伎(かぶき)・青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ) 〔会〕 「子供ができてはじめて親の苦労が分かったな」「そうね。私も小さいころ、ずいぶんわがままを言って困らせたものよ」「孝行のしたい時分に親はなし、か」「せめてお墓参りは毎年欠かさないようにしないとね」
孝行のしたい時分に親はなしとは、親孝行をしたいと思うころにはもう親は死んでしまってこの世にいないということで、要するに、生前にもっと親孝行をしておけばよかったと後悔する言葉である。しかし裏を返せばこの言葉、「親が生きているうちは親孝行なんかできない」という親不孝宣言のようにも受け取れる。「孝行のしたい時分に親はなし」の後に、「さればとて、石に布団も着せられず」つまり「だからといって、石に布団をかけてあげてもかいがない」と続けることもある。「石」は「墓石」のことであろう。ふだん「親が大事」などと口にしている親不孝なヤツが言いそうなことである。(CAS)